我が君が映画の紹介文を読んで見たい!と言ったので見てみた『スイス・アーミー・マン』。
この映画の存在は知っていたけど、メインキャストにダニエル・ラドクリフいるじゃん…てことで食わず嫌いしていた。話はいきなり脱線するのだけど、ダニエル君といえば映画版ハリーポッター。私は小学生の時に日本語版の1巻を読んで以来ハリーポッターの大ファンなのだが、映画版はそんなに好きではない。そもそも主人公のハリーのキャラクター自体は原作においても好きではない。(これは『たのしいムーミン一家』という作品全体は好きだけど、主人公のムーミンのキャラは嫌い、なのと同じ。スナフキンは好き。いつかこれも書く。)
でもこの映画、私の好きなポール・ダノが主演(助演)ではないか!それにダニエル君が変な死体の役だし…!
ということで見てみた。
結論から言って、……良かった!笑
ポール・ダノのヤバさと愛らしさ、ダニエル君が変な死体を100%演り切ってるとこ、オシャレな映像・音楽、そして思ったよりほっこりなストーリー。終始爆笑だったけども。
初めはどうしても変な死体メニ―(ダニエル・ラドクリフ)のヤバさが目立つ。オープニングにおならでジェットスキーとか最高である。で、序盤に無人島を脱出してしまうので、相手がハンク(ポール・ダノ)でなければ物語はここでおしまい、友情に発展することはなかったはずなのだ。
しかし……ハンクはさみしすぎて死体をわざわざ持ち運び、雨の夜を共に過ごす。ここら辺までは、ハンクちょっとヤバい奴だけど、飲まず食わずで頭がおかしくなったのかな、とか思う。
が……翌朝からは死体メニ―と言葉を交わし、愛着は増すばかり。メニ―はそれに応えるようにどんどん便利機能を提供していく。あれ、ハンク完全にヤバい奴じゃん!
ハンクはメニ―に不思議な愛情を傾けている。自分の片思い(ストーカー)中の女性にメニ―が惚れてしまっても、応援するように自分が彼女に成り代わって相手をしてあげ、ゴミからバスのセットを作る始末。
ハンクはメニ―の便利機能を利用して生き延びてはいるし、メニ―は生きる喜び・活力・自分の知りたいことをハンクに与えてもらっているので、そこだけ見てもこの二人、持ちつ持たれつである。
しかし、ハンクの、「メニ―が生きていたころの記憶を蘇らせよう」っていう目的はたぶんタテマエで、完全に楽しんで・好きで二人の生活を作っている。もう完全に二人の世界。めっちゃくちゃ楽しそう。
と、ここまでくると、「友情」以上のもの、不健康な「共依存」を感じるのだけど、この作品は最後、バランスを取ってくる。
おならによって結びついた二人が、最後別れるシーン。ハンクは動かぬメニ―のそばで、観衆に向けて堂々とおならを放つ。それは、友だちの行動を自分も取り入れて世界に対する誇りにするという、最も友だちを肯定する行為!そんなちょっと成長したハンクから、メニ―は(おならで)去っていくが、物理的に離れても大丈夫な絆がここに完成している。
(友情も映画もバランスが大事だね。)